グラスリッツェンとメグロー派 -Glasritzen Und Megroz-
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グラスリェンの歴史

グラスリッツェンは、ダイアモンドポイントと総称されるガラス工芸のひとつです。

ダイアモンドポイント工芸の歴史は非常に古く、およそ16世紀にさかのぼることができます。
このタイアモンドポイント工芸はその後何度かの復活・衰退をくり返しましたが、決して忘れられることはなく、ガラス工芸の中でも最も繊細で美しいものと認められています。(いくつかのガラス工芸歴史書の表紙にこの工芸の作品が使われています。)

ではなぜ衰退するのでしょうか?
それは、この工芸が機械の介入を拒否する性格をもっているからです。つまり「すべて手彫りであるから美しさが保てる」と言えます。決して機械の力を借りることのない、手作業の作品こそが真に美しいダイアモンドポイント作品なのです。しかしその結果、質の高い本物の出来上がった作品はあまりにも高価になり、またその制作数も自ずから小さいものとならざるをえません。これが、この工芸を専門とする工芸家が、それを職業として生計をたてることができない理由なのです。(現在でも世界中で一人として、この工芸だけで生計をたてている職業作家はおりません。)そして過去には、いずれ衰退してしまったのです。

20世紀の後半にスイスでG.メグロー夫人がこの工芸を復活させました。彼女はさらに種々の創意をもって近代工芸として発展させました。(参照:メグロー派のグラスリッツェン)メグロー夫人が1979年に急死されたために、現在では、夫人に直接指導を受けた人たちが非常に少なくなりました。

Glasritzen(グラスリッツェン)というのはスイス語での造語で、メグロー夫人の仲間たちが自分たちの技法のために作り、初めて使い始めたものです。したがって、どの辞書や文献(ドイツ語、英語、日本語)でも、ダイアモンドポイント彫刻(Gravirue,Engraving)という言葉が使われており、グラスリッツェンという言葉はありません。
日本語で記した「グラスリッツェン」は、そのことにより、日本での商標登録が私達に認められています。

近年、日本でもこの言葉が知られるようになってきましたが、そのほとんどが間違った理解をし、単なる利潤追求の具に利用されているのは、大変残念なことです。

私たちメグロー派のグラスリッツェンは、真の芸術作品をめざして活動をしています。そして、私達の技術とこの工芸芸術が衰退することのないように、しっかりと根付かせたいと思っています。